放送局のアルバイト
私が学生の頃、ある放送局の、歌番組のアシスタントのアルバイトをしました。
アルバイトは週一で、一回あたり5時間ほどのものでした。
その番組のディレクターから、私は仕事の指示を受けていました。
ディレクターからの指示はわかりやすく、無理のないようにとの思いやりもあって、とてもいい人で、ここでバイトできるのが、幸せで楽しい日々でした。
実はこのバイトを始めたのは、将来マスコミの仕事に就きたかったからで、今このディレクターとうまくやって認めてもらえたら、将来いいことがあるかもしれないとの期待のようなものも強く、私はそのディレクターに、精一杯の笑顔とやる気をアピールしました。
突然、私にキス…
あるバイトの日、少し遅くなったこともあり、そのディレクターに、家の近くまで送ってもらうことになりました。
しかし、途中から向かう方向が変わり、人通りの少ない、見晴らしのいいところで、車が止まりました。
少し沈黙があった後、ディレクターは当たり前のように、いつもしているかのように、私に近づいてきてキスしようとしました。
私は、そのディレクターには、それまで尊敬の気持ちこそあれ、異性を意識したことは全くなく、その人の行動にびっくりして、とっさに突き飛ばしてしまいました。
その抵抗の大きさに、ディレクターは驚いたのか、脈無しと察したのか、それ以上迫ってくることはありませんでした。
私にも将来的な打算が…
その後、何もなかったかのように努力して、普通にディレクターと接しました。
幸い彼も普通にしていました。
番組が終了するまでバイトを続け、その後会うこともなく、連絡もありません。
わたしはディレクターに、将来的な打算で、仕事で気に入られようと、一所懸命愛想を振りまいたことは認めます。
でも女を武器にしたり、思わせぶりな態度や、言動を取ったことは全くありません。
私も反省
それでも相手には、「この子は自分に気があるんじゃないか」と勘違いさせてしまうこともあるんだと、この経験を通して初めて知りました。
上司とうまくやっていくのは大切なことですが、ただ気に入られればいいというわけではなく、相手が異性の場合はとても慎重にならなければなりません。
相手の様子の変化を、何となく感じ始めたら、すぐさま無関心オーラをアピールすることが大切です。
私はあのセクハラ経験があってから、社会では、常にこれを意識して人と接してきました。
そのおかげか、異性とのトラブルは、全く無くなりました。
それでももし万が一、不用意に相手に迫られることがあった場合は、怖れで固まってしまわずに、力強く拒否の態度と言動を表すと、ある程度その場の空気を断ち切ることができて、被害を最小限に抑えられるでしょう。